神戸市特集(3)コロナ禍でもファンを増やしたい SNS強化でブランド確立 

前回から発信している神戸市特集。特集3回目の今日は、ハートスフードクリエーツ株式会社と神戸市役所の副業活用事例をご紹介します。

【副業活用事例④】ハートスフードクリエーツ株式会社 自社のファン作りを叶える、ブランディング施策をスタート

こだわりの食材と手作りで人々に笑顔を届けることを使命と考え、常に「前向き」に次なる一手を模索。今新たな一歩を踏み出そうとしています。

少しでも、子育て家庭のサポートができれば。幼稚園・保育園内でのマルシェや今後予定しているEC事業は、ハートスフードクリエーツ株式会社の想いを届ける試みです。

ハートスフードクリエーツ代表取締役/ CEO 
西脇 章(にしわき・あきら)さん 関西の有名ホテルのソムリエとして活躍後、給食業界へ転身し、独立。現在は給食事業・外食事業・スイーツ事業を手掛ける。

私たちの想いに共感してくれた副業人材と出会えたことが、一番の成功の理由です。

コロナ禍と緊急事態宣言で当社の事業の多くがストップし、新しい生活様式に準じたビジネスを考え始めたのが、副業人材採用のきっかけです。当初はオンラインミーティングの経験もなく、コミュニケーションに不安はありましたが、意外とできるものですね(笑)。

応募者全員とオンラインで面接し、最後は社員にも面接してもらいました。同じ感覚で物事を考えられる人材に決めたことが成功の秘訣だったと思います。たまたま選んだ方が西宮の方だったので、オンラインの他、対面での打合せも必要に応じて行いました。 ECサイトの立ち上げのための試験的なリアルイベントの実施、それに伴うツールの制作など、効果的なブランディング施策を一緒に進めることができ、契約終了後も副業人材の方との良好な関係は続いています。 

求人募集した背景

自社ファン獲得のためにITツールを活用したブランディングを行いたい

事業を通じて伝えたい食への想いを、新たに立ち上げるECサイトや給食事業などを通じて発信し、コロナ禍でも自社ファンを作る機会を増やしたい。

副業人材の仕事

SNSやホームページなどの制作と施策サポート

 食への想いを客観的な視点でわかりやすく発信するため、各種SNSやホームページでの適切な施策、ロゴやツールの制作などを提案。 ECサイトの立ち上げにつなげるために幼稚園で行った試験的なマルシェのチラシデザインも担った。

副業人材のプロフィール

ブランドコンサルティング(30代/男性/兵庫県)

報酬:3,000円/時×月50時間程度 契約:2020年10月〜3か月間

業務の結果

ファン獲得のプロセスが明確になった。ECサイト立ち上げ準備としてリアルイベントを実施

【副業活用事例⑤】神戸市役所 行政でも副業人材の活用が広がっています

東京圏移住促進プロジェクトチームで副業人材2名を採用。チームの一員として高い専門性を活かし、プロジェクトの推進力となりました。

打ち合わせは非常に和やかな雰囲気。短期間でも、互いにコミュニケーションを積極的にとることで、大きな成果が得られることを実感しました。

神戸市役所のコメント

神戸市東京事務所 所長
中山 裕介(なかやま・ゆうすけ):中
都市プロモーション担当係長
伊藤 友美(いとう・ゆみ):右
都市プロモーション担当
片岡 航一(かたおか・こういち):左

副業人材の活用に可能性を感じています。

神戸市ではこれまでにも専門的なスキル・知識を持つ民間人材の登用を行ってきました。 コロナ禍の中、2020年には広報関係で副業人材40名を募集しましたが、今回のように職員とのプロジェクトチームを想定した副業人材の採用は初の試みです。私たち職員にはない専門性をプロジェクトに組み込むことはもちろん、短い期間で最良の成果を出すためにはどうすればよいのかを考えた上での決断でした。 

これまでの外部委託とは異なり、チームの一員として迎えるため、 面接ではスキル以上にパーソナリティ、特に職員との相性を重視しました。 多くの高スキル人材にエントリーいただいた中から、これまでの経験やスキルの他に、趣味や仕事のポリシーなど、さまざまな情報を互いに話し、水関さん・植草さんと一緒に仕事をすることを決めました。彼らと一緒に仕事ができたことはよい刺激になりましたし、 プロジェクトの進捗管理にもつながったと思っています。現役で活躍している人材の専門的なスキルと外部人材ならではの新たな目線は、私たちにとって大きなプラスになったと感じています。 

今回をきっかけに、他の部署やプロジェクトでも副業人材の活用が進んで欲しいと考えています。 やらなければならないが、時間がなくてできない、人手やスキルが足りないと後回しにしていた案件も、副業人材を活用することで進めることができます。しかも、手ごろな費用で。 実際に二人と仕事をしてみて、副業人材の活用に大きな可能性を感じています。

求人募集した背景

2020年 神戸市が副業人材40名を採用

コロナ禍でリモートワークが普及し、働き方の多様化が進む中、市内企業活性化のために、副業人材活用推進をスタート。市役所でも副業人材の活用を始めた。

2021年〜 プロジェクトメンバーとして副業人材を採用

市内での更なる副業人材活用推進を行うとともに、市役所内での副業人材活用も進化。東京圏プロモーションなどを担当する東京事務所では、移住促進プロジェクトメンバーとして2名の副業人材を採用。

副業人材の仕事

その1:移住促進のためのデータ抽出と分析

データサイエンティストとして、移住市場の最新状況を分析。移住促進PRに活用するためのデータ抽出も行った。

その2:移住施策検討のためのターゲット分析と施策アイディアの提案

マーケティングの観点からターゲットをセグメント分けし、分析。データに基づいた仮説を構築。今後に向けた施策アイディアの提案を行った。

副業人材のプロフィールとコメント

データサイエンティスト
水関 裕人(みずせき・ひろと)さん

本業ではデータを軸に有益な知見を引き出すデータサイエンスのスキルを活かし、事業戦略やマーケティングに必要な情報を提供。

報酬:10万円/月 契約:2021年1月中旬〜2.5か月間

副業だからこそ「好き」を仕事に。それがモチベーションになり、質の高い成果につながる。

これまで本業では自分の価値を高める意味で、データサイエンスのスキルを活かして仕事に取り組んできましたが、その価値を本業以外でも提供したい、世の中に役立てたい…という思いが、副業を始めたきっかけです。

This image has an empty alt attribute; its file name is 神戸市副業人材2人-1024x683.jpg
質問に対してすぐ回答があるなど、リモートワークでもしっかりコミュニケーションが取れました」と水関さん。

神戸市の案件は、本業の同僚でもあった植草の声掛けもありましたが、やってみたいと思ったのは、「移住」という自分に興味のある分野だったから。副業では好きなことを仕事にしたかったのです。 また、面接は「何ができる」「何をして欲しい」以上に、互いのパーソナリティを知り、気持ちよく仕事ができることを確認する場だと考えています。 職員の方々との面接を通じ、とても前向きな気持ちになったことも、参加を決めた理由でした。

明確なゴールが設定されていたこともあり、気持ちよく仕事ができたと思います。 本業でも、副業でも、提供するアウトプットのクオリティを変えることはありません。むしろ、今回は好きだからこそ高くなったかもしれません(笑)。 多様な働き方が浸透し始めましたが、副業のスタイルで自分の価値を提供できることに、本業とはまた違ったやりがいを感じています。


マーケティング
植草 俊輔(うえくさ・しゅんすけ)さん

本業では事業戦略や商品企画、マーケティングなど幅広い業務を担当。水関さんは会社の同僚。一緒に仕事をすることも多い。

報酬:10万円/月 契約:2021年1月中旬〜2.5か月間

互いにベストな成果を目指すなら、積極的なコミュニケーションが欠かせません。

本業の仕事では成功も失敗もありましたが、そこで得た経験やスキルを、本業以外でも求められるなら、私は惜しみなく提供したいと考えています。本業での仕事の先にある出世や収入だけで私は満足できません。 自分の価値を提供することで相手に喜んでもらえること、そして人脈や広い視野を得られることにもモチベーションを感じるからこそ、私は副業に取り組んでいます。 

神戸市の案件は自分のマーケティングのスキルを活かせる機会になりました。副業はサブ的なイメージがあるかもしれませんが、これまで仕事に優劣をつけたことはありません。プロジェクトメンバーの一員として職員と同じ目線で取り組み、結果、ベストなアウトプットができたと思います。

その理由は「何か新しいことを…」といった曖昧な依頼ではなく、互いにコミュニケーションを積極的に取り合うことで、目指すゴールと役割分担が明確になったから。また双方のリスペクトの先にゴールがあることを認識し合えたことで、最良の成果にたどり着けたと感じています。

植草さんは「雇用側は成果を求める一方で、私たち副業人材の能力を発揮しやすい環境を作ることも大切だと思います」と話す。

業務の結果

データに基づく移住施策方向性決定

最新の移住市場状況を正確に把握し、チーム内でターゲット別にインサイトイメージを共有。今後の取り組みの方向性が固まり、具体的な施策検討段階へ。

今回は2つの事例をご紹介しました。最終回は、神戸市役所の栗山麗子氏による副業人材活用のポイントについての寄稿をお届けします。

投稿者プロフィール

国分瑠衣子
国分瑠衣子
北海道生まれ。北海道新聞社、業界紙の記者を経てライターとして独立。経済・法律メディアを中心に取材、執筆。趣味は日本酒とランニング。激辛料理が大好物。