“フィードバック”とは

フィードバックって何?

ざっくり

気になること、お互いに言いあっていこう!
相手のため、チームのため

フィードバックとは「伝え返す」こと

フィードバック(feedback)の辞書的な意味は、

〔視聴者・読者・利用者などからの〕
反応、意見、評価、手応え、反響、フィードバック

(英辞郎 on the WEB|https://eow.alc.co.jp/

feed(与える・供給する)+back(戻す・返す)なので、「何かの出来事や、誰かの行動やふるまいの結果、その影響を受けた第三者から、感じたことや気になったことを伝え返す」というイメージですね。

フィードバックと聞くと、「会社の上司が、部下の仕事ぶりに対する評価を伝えるイベント」を思い浮かべる方もいるかもしれません。それもフィードバックの一例ではありますが、ここでは、上司(リーダー)と部下(メンバー)の関係だけでなく、メンバー同士の関係においても日常的に行われる、もっと「普段づかい」のフィードバックについて紹介します。

フィードバック文化で有名なNETFLIXの「4A」ガイドライン

「率直なフィードバック」を重視していることで有名な企業のひとつが、NETFLIX(ネットフリックス)です。ネットフリックスでは、社員同士がお互いに、気づいた点や感じたことを日ごろから(いつでも、どこでも)率直にフィードバックしあうそうです。

しかし、それは決して「後先を考えずに頭に浮かんだことを何でも言いあう」ということではなく、フィードバックを与える側も受ける側も、全員が心得るガイドライン(ルールのようなもの)があるというのです。それが「4A」です。

NO RULES(ノー・ルールズ)
世界一「自由」な会社、NETFLIX

(リード・ヘイスティングス、エリン・メイヤー|日本経済新聞出版)

フィードバック与える時のガイドライン

1. 相手を助けようという気持ちで(AIM TO ASSIST)

フィードバックは前向きな意図をもって行われるべきです。個人的には、4つのAの中でこれが一番大事だと思っています。自分の不満をぶつけたり、相手のミスをとがめたり、時に自分の立場を強く顕示しようとしたり。それらはすべて「自分のため」のコミュニケーションです。そうではなくて、「相手のため」のフィードバックでなくてはなりません。相手に対して自分が感じていることをフィードバックする時には、相手がそれを理解して行動やふるまいを変えることが、相手自身またはチームにとってどのような意味があるのか(なぜそれがより良い結果につながると考えるのか)を、きちんと説明する責任があります。

2. 行動変化を促す(ACTIONABLE)

フィードバックを受けた相手が、「自分の行動をどう変えたらよいか」を具体的に考えられるように促すのが良いフィードバックです。例えば、「あなたの説明は、理解しにくい時がある」というフィードバックでは不適切、不十分です。これでは、いつ何をしていた場面のことを指摘されているのか分からないうえに、具体的にどう改善すればよいのかを考える手がかりがありません。

一方で、次のように伝えた場合はどうでしょうか。「先日の○○会議であなたが説明してくれた内容のうち、例えば△△の部分は、自分たちの部署で使う専門用語をなるべく使わず、他の部署や外部パートナーの人たちも知っている平易な言葉で説明したほうが、参加者の理解が速まり、より関係者を巻き込みやすくなると思います」

先ほどの例と比べてみてください。

フィードバックを受ける時のガイドライン

3. 感謝する(APPRECIATE)

誰だって、自分の行動やふるまいに対してネガティブなフィードバックをもらったら少し凹みます。私もそうです。ただ、フィードバックを与える側も、勇気を出して、時間を使って、「言いにくいことを言ってくれた」のです。また、これを真摯に受け止めることで、今まで意識できていなかった自分の一面を知ることができる(それを「成長」と言う方もいらっしゃいますね)のだと思えば、まずは「ありがとう」、の一言ですね。シンプルですが、すごく難しい、でも大事。

4. 取捨選択(ACCEPT OR DISCARD)

たくさんのフィードバックを受け取り、それらを吟味して、行動を変えるのか、変えないのか、変える場合はどのように変えるのか。最終的な選択は自分で決定しよう、というものです。最高の人材を集め、自由と責任を与えているネットフリックスらしい考え方です。

心から「ありがとう」と言ったら、受け入れるかどうかは本人次第だ。それはフィードバックを与える人、受ける人の双方が理解しておかなければならない。

(NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX)

「4A」ガイドラインを含む、ネットフリックスの文化や慣習については、NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX(リード・ヘイスティングス、エリン・メイヤー著|日本経済新聞出版)で詳しく紹介されています。

フィードバックしあう文化が、チームのパフォーマンスを高める

以前の記事(“ジョハリの窓”とは)でも、「よいチームほどコミュニケーションがオープンである」ことにふれました。

チームのメンバーの行動やふるまいについて気になった点があれば、率直に、タイムリーにフィードバックしあうこと。ただし、単なる「個人攻撃」になってしまっては、その人の持っている力を最大化できません。また、チームの雰囲気も悪くなってしまうかもしれません。

個人の非を追及することが目的ではなく、あくまでもチームで成果を出すためのフィードバックであるべきです。その時、今回紹介した「4A」ガイドラインにあった「相手を助けようという気持ちで(フィードバックを与える側)」や、「感謝する(フィードバックを受ける側)」などがとても役に立ちます。

これらを当たり前のこととして習慣化できているチームは、心理的に安全・安心な関係性の中で、一人ひとりが失敗や成功から素早く学習し、しなやかで筋肉質なチームになっていくでしょう。

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投稿者プロフィール

岸 秀一朗
岸 秀一朗
パイオニア→三菱総合研究所→現在はソニーグループで組織開発/人材開発に携わる。シニアマネジャー。2020年~2022年、副業でJOINSに参画。組織を越えて、“個”として働くことに一歩踏みだす皆さんを全力で応援。DDIファシリテーター(コーチング)、キャリアカウンセラー(CDA)、ワークショップデザイナー。