“要件定義”とは

要件定義って何?

ざっくり

誰にでもわかる言葉で、

やること(やらないこと)を決めること

「要件」を「定義」する

「要件定義」の前に、「要件」って何だろうか。「定義」って何だろうか。

【要件】 大切な用事、必要な条件。(類語)条件、前提
【定義】 物事の意味・内容を言葉で明確に限定すること。

(デジタル大辞泉|小学館)

2つをつなげると、「大切な用事、必要な条件を、言葉で明確に限定すること」。つまり要件定義とは、「ある目的のために、やること・やらないことを、みんなが理解できるように言語化すること」というイメージですね。

「要件定義」が、プロジェクト成功のカギを握る

システム開発における重要プロセス

インターネットで検索してみると分かるとおり、「要件定義」は主にシステム開発の文脈で使われる専門用語です。

システム構築の上流工程における重要プロセス

要件定義を適切に実施することにより、それに続く開発プロジェクトの失敗を減らし、構築するシステムに対する品質要求に応え、対象システムにより実現されるビジネスや新たなサービスに、より高い価値をもたらす

(ユーザのための要件定義ガイド 第2版 要件定義を成功に導く128の勘どころ|独立行政法人情報処理推進機構)

「上流工程における重要プロセス」、「それに続く開発プロジェクトの失敗を減らし」とあるように、要件定義を着実に行うことが、プロジェクト成功のカギを握っています。様々な機関の調査でも、システム開発の失敗(工期遅延、予算オーバー、品質不良など)の多くは「要件定義の失敗」が原因であることが指摘されています。

「要求」を取捨して、「要件」として合意する

ステークホルダのニーズ、要望、課題を分析し、利用者や他のステークホルダが必要とするサービスを提供するシステムに対する要求を定義し、ステークホルダと合意して、要件とする。

(ユーザのための要件定義ガイド 第2版 要件定義を成功に導く128の勘どころ|独立行政法人情報処理推進機構)

「ステークホルダのニーズ」とは、例えば、「間接業務のコストを削減したい」という経営ニーズや、とりわけ「経費精算業務を効率化したい」などの業務上のニーズのことです。それらを把握して、クリアしなければならない課題を洗い出し、優先順位をつけて取捨選択します。

次に、その仕組みを実現する方法を「システムに対する要求」として定義します。「システムに対する要求」とは、例えば「経費精算シートを起票する時に、自分の申請履歴から過去シートをコピー利用できるようにする」、「領収書をスキャンして帳票に自動反映する」など、実務上のニーズです。

それらの要求(ニーズ)をわかりやすく文書などにまとめて、「要件」として合意します。

筋の良い要件定義は「効果的、作れる、使える」

要件定義で定義する要件は、経営や業務の改善において効果的で、実際にシステム化することができ、業務で使えることが重要です。そのため、定義した要件の品質を評価する基準として「効果的」「作れる」「使える」の三つが挙げられます。

(SEの参考書「なぜ」で始める要件定義|水田哲郎・松本隆夫著|日経コンピュータ|日経BP社)

要件を定義できたら、その品質をチェックする必要があります。次の3つの基準で評価し、不十分な点があれば追加や修正をしましょう。

  • 「効果的」・・・経営・業務上のニーズに応えられるか、目的を実現するうえで重要な課題を解決できるか。
  • 「作れる」・・・開発担当者から見て、実現可能な仕様か。リソースやスケジュールに無理がないか。
  • 「使える」・・・業務フローが明確か。前後の工程(入力・出力)も含めて、実際に動かせるか。

「要件定義」をするのは誰か?

要件定義が「何をすることなのか」だけでなく、それを「誰がするのか」も必ず明確にしておきたいポイントです。

一般的なシステム開発のプロジェクトであれば、クライアント企業(経営/業務の課題の当事者)が要件定義をして、システムベンダーが実行(設計、開発、実装・・・)を請け負う形のほか、プロジェクトの難易度の高さによっては、「要件定義」の工程からクライアント企業とシステムベンダーが一緒に取り組む形も少なくありません。

「要件定義」の担い手には、次のような知識やスキルが求められると言われています。

要件定義を進めるには、(1)要件定義の進め方に関する知識、(2)思考技術(目的思考・デザイン思考)、(3)業種・業務・システムに関する知識、(4)コミュニケーションスキルが必要。

(SEの参考書「なぜ」で始める要件定義|水田哲郎・松本隆夫著|日経コンピュータ|日経BP社)

(1)が中心にあり、(2)~(4)がそれを補完するイメージですね。これらを備えている人材をチームのメンバーとして迎え入れることができれば、「要件定義」を着実に行い、プロジェクトの成功確率を高めることができるでしょう。

– 要件定義から任せられる副業プロ人材とチームを組む –

投稿者プロフィール

岸 秀一朗
岸 秀一朗
パイオニア→三菱総合研究所→現在はソニーグループで組織開発/人材開発に携わる。シニアマネジャー。2020年~2022年、副業でJOINSに参画。組織を越えて、“個”として働くことに一歩踏みだす皆さんを全力で応援。DDIファシリテーター(コーチング)、キャリアカウンセラー(CDA)、ワークショップデザイナー。