“ジョハリの窓”とは

ジョハリの窓って何?

ざっくり

周りが知らない「自分」をオープンにしていこう、
自分も知らない「自分」を発見しよう、というツール

自己理解を深める・広げるためのフレームワーク

ジョハリの窓は、いわゆる「自己分析」のためのフレームワークです。

次のような方法で自己理解を深めたり広げたりしていきます。

  • 自分が知っている「自分」を、改めて確認する
  • 他者(周りの人たち)から「自分」がどう見えているかを知る
  • 上記2つの「自分」のギャップ(ズレ)に気付いて、強みの強化や行動の改善などに活かす

ちなみに「ジョハリ」という呼称は、米国の2人の心理学者、ジョセフ・ルフトとハリー・インガムの名前の一部を組み合わせた言葉が由来です。「窓」という表現は、次に紹介するフレームワークの形を「窓」に見立てたことから来ています。

自分や他者から見た「自分」を4つの窓に分類

開放の窓(Open)

自分が知っていて、かつ他者(周りの人たち)も知っている「自分(あなた)」を表す領域です。あなたの特徴や能力が“自他ともに”認められている状態です。この領域が大きいほど良いと言われています。例えば、あなたが「人に教えることが好きだ」と感じていて、周囲の同僚もそれを知っていれば、その「好き」を伸ばすチャンス(新メンバーのメンター役や、研修の講師役など)が巡ってくる可能性が高まります。

盲点の窓(Blind)

自分が知らない、だけど他者は知っている「自分(あなた)」です。例えば、何気ない自分の行動が、実は他のメンバーを助けとなっていた、チームの模範的な行動として見られていた、など。その場合、新しい自分の強みを発見したことになるでしょう。反対に、実は誰かに不快な思いをさせていた、チームの非効率を生んでいた、となれば、自分の改善点に気づくきっかけになります。

秘密の窓(Hidden)

自分だけが知っていて、他者には知られていない「自分(あなた)」です。ここで扱う「秘密」は、例えば、本当はずっとやってみたいと考えていたこと、どんな思いで今の仕事に携わっているかなど。または自分の弱みや苦手なこと、プロジェクトへの不安、チームに対して感じていることや気になっていることなど。意図的に、あるいはなんとなく、まだ誰にも話していないことがあれば、それらがここに該当します。

未知の窓(Unknown)

自分にも他者にも見えていない、誰にも知られていない「自分(あなた)」です。この領域には、そのまま放っておいたら誰にも気づかれることのない、新しい自分、隠れた才能、使える資源・・・が埋もれている可能性があります。自分やチームが成長するために、ここに意識を向けることはとても大切です。

「開放の窓」を大きくする=「未知の窓」を小さくする

ジョハリの窓では、「開放の窓」を大きくして、「未知の窓」を小さくしていくことが良いとされています。誰にも知られていない自分(未知の窓)を掘り起こすことで、新しい成長機会に気づいたり、周囲からサポートを得られたりするためです。

方法1:積極的に自己開示する(秘密の窓を小さくする)

自己開示するとは、今まで「秘密」の領域にあった自分の考えや思い、または弱みや不安などを打ち明けて、他者(周りの人たち)に知ってもらうことです。普段あなたが考えていることや感じていることは、思うほど周りには伝わっていないものです。特にリモートワークが中心の職場などでは、言葉を尽くして伝える努力も必要になります。

積極的に自己開示をしていくと、上図のように、「開放」と「秘密」の境界線が下に動いていきます(つまり、「秘密の窓」が小さくなり、「開放の窓」が広がっていきます)。

方法2:他者からのフィードバックを受け入れる(盲点の窓を小さくする)

他者からのフィードバックを受け入れるとは、自分の行動が周りからどう見えているか?どういう影響を与えているか?などの情報(他者の声)に耳を傾けることです。今まで「盲点」の領域にあった自分自身の姿(言われて気づいたこと)を直視して、真摯に受け止めること、とも言えます。

他者からのフィードバックを受け入れて自分を客観視できると、上図のように、「開放」と「盲点」の境界線が右に動いていきます(つまり「盲点の窓」が小さくなり、「開放の窓」が広がっていきます)。

方法1と方法2によって「開放の窓」が広がる

積極的な自己開示(方法1)と、フィードバックを受け入れること(方法2)によって、「開放の窓」がタテ・ヨコに広がっていくことが分かります。これは同時に、「未知の窓」の領域が小さくなっていくこと、つまり、「未知」の自分が発掘されて、「開放」されていくことを意味しています。

「ありのままの自分」をさらけ出したり、「周りから見た自分」も素直に受け入れたりすることで、「開放の窓」が大きく広がります。「開放の窓」が広がると、自分の成長のチャンスが増えます。

あなたの考えや思いが正しく周囲に伝われば、あなたの行動を支持する人が増え、あなたの強みを活かせる場所を教えてくれる人が現れるかもしれません。また、あなたの苦手なことや弱みを“自他ともに”認識できれば、周囲のメンバーに苦手な仕事を手伝ってもらうことや、弱みに映っている自分の行動やクセを改善するためのアドバイスをもらうこともできるでしょう。

よいチームほど、コミュニケーションがオープン

ここまでお伝えしてきたとおり、「開放の窓」を広げることは自分の成長機会につながります。これを組織やチームの単位で考えてみると、どういうことが言えるでしょうか。

メンバーの一人ひとりが、自分の「開放の窓」を広げようと意識しているチーム。おそらくそのようなチームでは、自分の意見を率直にメンバーへ伝えることや、メンバーの意見を素直に聞き入れることが、自然に行われているかもしれません。

メンバーの一人ひとりが、他者の「開放の窓」が広がるよう助け合うチーム。そのようなチームでは、メンバーの行動について気になった点などをタイムリーにフィードバックしあうことが、あたりまえのこと(習慣)として根付いているかもしれません。

伝える、聞き入れる、フィードバックしあう。これらのコミュニケーションをチームの中でオープンに行うことが、メンバーの成長機会を増やし、成長速度を高め、ひいてはチームでより大きな成果を出していくことにつながります。

チームをよくするには、メンバー全員がオープンであることが大切です。ジョハリの窓は、自分をオープンにしていくための準備ツールとしても役に立つでしょう。

– オープンなコミュニケーションで副業プロ人材とチームを組む –

投稿者プロフィール

岸 秀一朗
岸 秀一朗
パイオニア→三菱総合研究所→現在はソニーグループで組織開発/人材開発に携わる。シニアマネジャー。2020年~2022年、副業でJOINSに参画。組織を越えて、“個”として働くことに一歩踏みだす皆さんを全力で応援。DDIファシリテーター(コーチング)、キャリアカウンセラー(CDA)、ワークショップデザイナー。